ラッキーの狂い咲き☆ドラァグロード 第六十八話

皆さまごきげんよう 好運綺譚ラッキー・リーです。 


つい先日、伯父が亡くなりました。

通夜に駆け付けた親類の中には、40年ぶりの再会となる人もいて、計らずも懐かしい一時を過ごしました。

時に冗談も飛び交う明るい雰囲気に、泉下の伯父も喜んでいてくれたような感じがしました。

笑い、というのは哀しみと相俟ってこそ、味わい深いのでしょうね。

  

私には忘れ難い体験談があります。

今から十八年前、父の葬式で、私は喪主を務めておりました。


焼香を済ませた会葬者皆さまにお辞儀をしてお見送りしていたのですが、この時お一人、五十年配の女性が、私に向かって合掌したのです。

当時の私は、今とは違って髪の毛がフサフサしておりましたから、お坊さんと見間違えた訳ではないでしょうが、きっと緊張していらしたのでしょう。 

大晦日の人気TV番組さながらに、こちらは吹き出しそうな笑いを堪えるのに大変でした。


更には、弔辞を読んだ叔父が、これも緊張からか、噛みに噛んでしまい、私は下を向いて口を押さえて震えておりました。

完全にアウトでタイキックですね。 

 

前にも一度、当ブログで触れたかもしれませんが、父の葬式で、火葬場からの帰り道、親戚一同を乗せたマイクロバスが、当地では珍しい大雪、それも猛吹雪による交通渋滞の中で、一時間程完全に止まってしまいました。
 


それが丁度、町の体育館の前だったのですが、体育館の外の庭園にある屋根付きのベンチで、地元の高校の制服を着た男女が雪を凌いでいる姿が目に入りました。 

初めは寒さの余り、二人抱き合って身体を温め合っていたようなのですが、そこは生命漲る若者同士、激しいキスが始まり、『お!やっとるがや』と親戚のおじさん達もほろ酔い気分で盛り上がっておりました。
 


しかしそれも、女子生徒が跪いて、男子の股間に顔を埋めたあたりからは、皆見て見ぬフリをして、誰も二人に触れなくなりました。

私は父の位牌を手にしながら、それを眺めておりましたが、寒中に燃え盛る彼らが、可笑しくもあり、頼もしくも感じて、自然と笑みがこぼれておりました。 


そんな彼らも、今は三十代の半ばくらいになっているでしょう。

どこで何をしているか知る由もありませんが、今でも時折、この二人の姿を思い出す事があります。 


二度と無い人生、寒さ忘れる程燃えてみるのも悪くない。

笛を吹くのも吹かれるのも、また楽しからずや。

私もあなたもあの人も、みんなで燃えて愛し合いましょう(笑) 


また来週‼

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